『楽しいみんなの写真』を読んで。「楽しい」と「みんなの」を実現するにはとにかく撮りまくればいい、プラス、個人的には是非単焦点レンズをオススメします。

『楽しいみんなの写真』(著者:いしたにまさきさん ([twitter:@masakiishitani])、大山顕さん([twitter:@sohsai]))を読みました。がっつり刺激されて、写真を撮ることについて普段ぼやっと考えてたものの輪郭をキレイに浮かび上がらせてくれたので、ご紹介。途中どうしても語りたい単焦点レンズの魅力の話があるので長いですが、、、、お付き合いください。笑
IMG_0250


何のために撮る?「うまい写真」ありきの写真になってない?

まず最初、大山さんの前書きから共感したので引用。僕、個人的にはコレがこの本のキモでした。

・・(中略)だとしたら、僕らが無自覚に目指しているのは「うまい写真」じゃなくて「自分だってうまい写真を撮れるんだぞっていう証拠写真」かもしれません。それって、とても不健全だと思います。
たとえば、知り合った人に「趣味はなんですか?」って訊かれて「写真を撮るのが好きです」って答える。そうすると必ず「見せてくださいよ!」ってなりますよね。こういう時、すごく見せるの嫌じゃないですか?僕は嫌です。「ふーん、こういう写真撮るんだー」とか言われると、もういたたまれない気持ちになる。
たぶん、これは写真が撮った人の個性や価値観を表す表現物だと思われているからです。なぜこういう風になっちゃったかと言うと、それはやっぱり僕らが普段目にしているのが写真家による「作品」だからなんです。
世界は素晴らしいです。なのに、僕らは「うまい写真」にふさわしい被写体を探して、その素晴らしさの多くを見逃してしまっています。本来写真って、そういうものじゃないはずです。
だから「うまい写真」を目指すのをやめてみましょう。写真のために写真を撮るのはやめましょう。

思わず、ウッ、となりました。いつの間にかいつも「作品」になり得るスペシャルな被写体、つまり画になるモノや風景を探してて、それを如何にカッコ良く撮れるかを追求してる自分カッコ悪い、、みたいな。笑
日常に転がっているモノをたまたま見つけて、なんとなくキレイだったとか、気になったとか、そういう理由で目が向いて、それを意図通りに切り取った結果たまたまステキな味のある写真になった、ってことと、瞬間とか、構図とか、形とか、こういうものってカッコ良く見えるんじゃ無いかと色々考えて試行錯誤した写真がカッコいいことととはちと違う。いやだいぶ違うんですね。
僕らはプロじゃないし、カメラは作品を作るために構えるんじゃない。撮った写真もしーんとしたステキ空間にポツンと飾って鑑賞してもらう訳じゃなくて、むしろiPadにガンガン突っ込んだりFlickrに全部Uploadしたりして、友達に見せて、それをネタにワイワイやりたい。だからカッコいい決め顔より、むしろ変顔とか、何かに集中してる顔の写真とかの方が撮りたい。でも、そういう写真の使い方が好きでカメラが好き、なんていうスタンスは、「僕、カメラが趣味なんです」って言ってもなかなか伝わりませんよねぇ?どうしたって「作品」みたいなものを連想させてしまう。その辺はやっぱり、世の中に深く根付く、「写真=カッコいいもの、もしくは記念になるもの」という考えの影響が強いんでしょうね。本当は、気が向いたものを思うままに撮って撮って撮りまくり、たまたまカッコいい写真が撮れたり、カッコ良くなくてもそれが話のタネにでもなる面白い一瞬が撮れるかもしれない。こういう使い方の方がよっぽどカメラが楽しいし、「だから写真やってるんです」と言いたいんですけどね。これはもう実際に写真を見てもらうしかないんでしょうねぇ。


P2262039
たとえば僕は普段からなんらかのカメラを持ち歩いてますし、街中でなんとなーく適当にシャッター押すときもあります。「たまたま偶然いい写真が撮れたりしないかな」と思ってるからです。でもそういうときに撮った写真を友達に見せると「これ、何を(何の目的で)撮ってんの?」と言われることも。上の写真もまさにそれです。たまたま見た木が雨に濡れてなんとなくキレイだったから撮っただけで、特にそれ以上の意図はありません。友達はいわゆる「記念写真的なもの」こそが写真を撮る主目的だと思っていただろうし、そういう風に僕の写真を見ていたんでしょうね。いや、そう考えるとこれはもうまるで意味の分からない写真です。笑
でも僕はこれを聞いてますますそういう「たまたま」が大事だなぁ思いました。僕の答えは「マンションの1階に降りたときに、ランプと雨の色がキレイで、木もキレイで、水滴にピント合うかなぁとか思ってたまたま・・・」でしたが、まさか自分のマンションの1階で作品を作ろうなんて思ってないし、対象は毎日見てるエントランスで、特別な木でも何でもない。たまたま眼に入ったモノがなんとなく気に入ったのでシャッターを切った、ってだけなんですが、そういう写真の方が、意外とこんな風に人の目には留り、話のタネになったりするって例かなと。


写真の質としての評価は置いとくと、これで僕はひとつコミュニケーションが生まれると思ったんです。集合写真とかカメラ目線の記念写真もいいんですけど、そういう写真は、自分がその場に居なかったり、その人たちと何の関わりもない相手に見せたりしても「ふーん」で過ぎ去っちゃうんですよね。自分ではどんなに自信作だったとしても、所詮アマチュアの僕らが普通に記念写真撮ってるものは、そんなに相手の興味は引けないです。でも、「ん?何これ?何撮ってんの?」な写真だと話は別。そういう写真だと、その場に居合わせなかったとか関係ないんですよね。その場に居合わせてても「何コレ?」と思えるアングルとかモノとかでもいいかも知れません。相手が興味持ってくれたら、ちょっと説明してみる。そうすると、その人が持ってた写真観みたいなものとはちょっと違う何かを提示できて「こんな風に見えるんだ」とか「あぁ、そういう写真もアリかもね」なんて思わせられたりするかもしれません。結局、実物見せてみるってのが一番説得力あるんですよね。
あと、人でも、物でも、記念写真的な場面でも、自分目線な切り取り方も大事だと思います。運良くたまたま出会えた被写体を、意図したとおりに切り取る基本的な技術だとかはもちろん前提にしつつ、ですが、あとは独自の目線でシャッター押して、「こう思ったから」もしくは「なんとなく気に入って」撮った、と説明できれば、もうそれで十分写真が活用出来てるんじゃないですかね。だいぶ「楽しい写真」だと思うんですよ。


そうそう、「たまたま」の精度や密度がすごい高い人もいますよね。そういう人はつまり、「カッコいい写真」「ステキな写真」を撮る可能性がすごく高い、ということになりますね。いわゆる「写真センスのいい人」。でもセンスと言っても、この写真センスってやつはきっと、先天的なものじゃないんですよ。なんか、「センスあるなぁ」と思う写真見たらスゴい悔しくなったりするんですけど、、、そういう写真を撮れる人たちはきっと、たまたま出会えた被写体にカメラを向け続けて、とにかく数を撮ることで徐々にセンスを身に付けてきたものなんじゃないかなぁと思います。で、そういう人たちが記念写真とか集合写真とかを撮る場にいると、またひと味違った「楽しい写真」が撮れるんですよね。ホント悔しい。ズルい。笑 でもそういうのに自分もなりたいなぁと思ってるうちはまだまだシャッター押す回数が少ないんじゃないかなぁ、、とか思って、今日もシャッター押す訳です。


そうは言っても、こだわっておきたいカメラ選び。

『プロの写真家じゃないんだから、目指すのは作品じゃない。たまたまの被写体を思うように切り取ってればそのうち上達する。』ここまで書くと「じゃあカメラの機種にこだわらなくてもいいよね?いいカメラ買う必要ないよね?」と、普段の僕の物欲を知ってる人に揶揄されてしまいそうなので、、、ひとつだけ補足。僕は「カメラ選びの段階でその人が撮れる画は大体決まってる」と思ってます。何をそんな当たり前のことを、と思うけど、カメラを日常あんまり触ってない人にはよく違いが分かんないとこなんですよね。
先日、後輩の結婚披露宴と2次会で結構本気で写真係をやりまして(この話はまた今度)。特に2次会なんかだと、普段カメラを使い慣れていない人たちも久しぶりにカメラを持ってきて、久しぶりの撮影をするじゃないですか。でも2次会会場は大抵ちと暗めの室内。普通のコンデジでカメラ任せのオートで撮ると、ほぼ確実に内蔵フラッシュが光って、せっかく集まった同期の集合写真なのに、必要以上に光で白けて写ったり、逆に暗くて写りにくかったり。。。残る写真はなんとなく残念なものになることが多いです。いや、実際多かったです。本来ならひとつひとつフラッシュ発光禁止にして、ISO感度上げて、、、とかやりたいとこですが、次々と撮らないと行けない環境だと時間的に無理でした。まっすぐに撮るとか、ぶれないように固定するとか、そういうことだけはきちんとしましたけど、それ以外は、残念。。。
最近のコンデジは、「暗いところでもオートでキレイに撮れる!」と触れ込みのあるのを多く見かけますけど、昨日数十台のいろんなコンデジで撮影した感想は、「そんなカメラは流通してない or 普通にオートだけだと暗いとこでは思ったほどキレイには撮れない」だったんです。これはここ数年変わってない事実のような気がしています。つまり、ちとエラそうに聞こえるかもしれないんですが、「あんまり普段使わないから、そんなにいいカメラじゃなくても、適当に安いのでいいや。最近のだとどれでも大体キレイに撮れるんじゃないの?」という選び方してると、せっかくの「たまに」の撮影のときに、残念な写真が残ったりして、、、ということにもなりかねません(´・ω・`)


ミラーレス一眼を持ってる最近のカメラ女子にこそ伝えたい。単焦点レンズ使ってみて!

IMG_0251
断っておくと、フラッシュが悪い訳じゃありません。ましてやコンパクトが悪いってことでもありません。コンパクトでも暗いところで確かに撮れるカメラはいっぱいあります。(お手軽な価格ではありませんが・・・。)僕も使っているPENとか、GFシリーズとか、NEXとか、GRDとか、、、どう安く見ても5万円以上はします。でも、やっぱりその価値はあると思います。とくにレンズ交換式の上記のミラレーレス一眼や、GR Digital4なんかはスゴい。最近、僕の周りの知り合い、特に女の子がコンパクトなミラーレス一眼を持ち始めました。先に書いた2次会にも、1割くらいの人はそういうカメラを持ってきていて、そのカメラで撮影するとやっぱりオートで簡単に自然な写真が撮れるんです。でも実は、ここまでだとあと一歩。エラそうですが。笑 あと一歩欲しいとこなんです。

そもそもブレないようにする撮影技術とか、絞りとかレンズとかシャッタースピードをどうすれば適切かとか、そういう撮影の「慣れ」に左右される部分もたくさんあります。でもそれにもまして、カメラ本体、さらに言うと暗いところでもブレずにフラッシュ無しで撮れるレンズてのがあって。そういうのを備えていること、これがもうホントにお手軽に写真を楽しむのには一番大事だと強く言いたいんです。それはつまり、明るい単焦点レンズ(ズームが出来ないレンズ。ズーム出来ないけど、その分背景がボケたり、暗いところでも明るく撮れたりするレンズ)なんですが、この魅力たるや!ってことです。まぁ、こんなこと言うのも僕自身が単焦点の魅力にどっぷりハマっているからなんですけどね。。ともかく先に上げた最後の一歩がまさにコレ。「ちょっといいコンパクトカメラ+明るい単焦点レンズ」が僕的にベストなスナップカメラであり、ベストな2次会カメラです。笑
これ、なかなか伝わんないんですよねぇ。「えー、やっぱりズームがないって不便だし・・・」使ったこと無い人だと、ほぼこう返ってきます。でも、本当にこれは大事なことで、上記ちょっといいカメラを買った女子にこそ伝えたいんです。「ズームも便利なことはあるけど、2次会ではやっぱり明るい単焦点レンズだよ!」って。だって、せっかくいいカメラ手に入れた〜!とウキウキしてるのに、いざ撮ってみたら(ピタッと止める技術に乏しいこともあって)なんかブレブレで、フラッシュ焚かないと暗かったりして、、「あれ?いいカメラと思ってたのに、結局コンデジ使ってるときとあんまり変わらなくない?」と誤解してガッカリしちゃうことほど残念なことなんてないし。。。(´・ω・`) 「本当は撮れるんですよそのカメラも!レンズを換えてみて!」と声を大にして言いたい!実際に会う人には言いますからね。笑 いろんなシーンで自然な、キレイな、自分がいつも目で見てる風景のような写真が簡単に撮れちゃうようになると、写真がもっともっと楽しくなると思うんです。
PB055916



で、その写真、どうするの?

少々脱線してきたので話を戻します。出来れば単焦点レンズを使うとより楽しくなるよ!というのも元々、楽しい写真の話でした。
後に引用するように、写真ってまだまだ一般的には「よっぽどのことがないと、日頃から見返すようなものではないもの」と思うんですよね。これ、残念。せっかく撮ったのに、せいぜいやることはみんなに写真ファイル配って、はい終了、みたいな・・・。これだとちとさびしい。しかもこの手の写真ほど、あんまり見返さないんですよね。。せっかく撮ったんだから、もっとみんなでワイワイシェアして楽しんだらいいし、夜な夜な一人で見直してほくそ笑んだりしたらいいと思うんです。夜な夜なじゃなくてもいいですけど。笑 とにかくまず、いつでもさっと見れるところに写真(データ)を置いておく、ってのが一番大事です。これ、まだやってない人はすぐやってください。
iPadとか、Flickrとか、Facebookアルバムとか、大型液晶テレビメモリーカード差し込んでスライドショーなんてのもいい。今の世の中、それを実現する便利なツールはいくつでもあります。少なくとも、「家のPCには写真があるけど、今持ってなくて・・・」なんて、シェアするチャンスを逃してる時代じゃないんですよ!そんな人は今すぐFlickr始めるか、iPad買いに行きましょう。笑


今よりももっともっと、撮った写真を楽しむことを覚えて、みんなでワイワイやる。そしたらきっと次はそういう写真を撮るのが楽しくなる。でまた友達とシェアして、、、その連鎖が好循環を生むと思うんですよね。本書の前半部分は、そういうことを日々体現されてるブロガーのいしたにまさきさん([twitter:@masakiishitani])によるものですが、写真を楽しくシェアする方法が満載でした。僕はもうだいたい実践してたり周りに教えたりしていることでしたが、やっぱり本にまとまってると分かりやすさが違います。
その中の一節がまたしてもグッときたので、少し長いですがこちらも引用させていただきたく思います。

私たちはプロではありませんから、誰かに依頼されて写真を撮ることはほとんどないはずです。そして、自分が撮影した時にその写真の価値というものが決定してしまう訳ではないのです。
そのことに気付くためには、あなたの写真を誰かが見やすい状態にしておくことや、自分で何度も見ることがどうしても必要です。この自分の写真を何度も見るという行為は、フィルムの写真時代には、ほとんどやれなかったことです。引っ越しや収納方法によって、そもそも写真が1ヶ所に集まっていませんし、なにか特別な理由でもなければ、アルバムを見返すということもそれほどありません。当然、そのアルバムからなにかしらのテーマにしたがって、アルバムを作り直すなんてことは一度もしたことがない人がほとんどでしょう。これでは、自分が自分の写真と向き合うこともできるわけがありません。その場にいた人たちにしか話題を共有することができないような記念写真めいたものが増えていくだけです。
自分が撮っている写真が記録としてデジカメを使っているだけなのか、写真を撮ろうとしているのか、それはこうした見直しと再整理、そして意識的に被写体を選んで撮影してみるという繰り返しの中で、だんだんと自分の中にできあがってくるものです。

ね?これなんです!Evernoteをはじめとするクラウドツールを活用するときにも言えるコツですが、撮った写真はかならず何回も見返すこと。それも出来れば複数の目に晒して。いろんなフィードバックがもたらされますからね。そのため一番大事なのは、とにかくいつでも手が届くところに写真を置いておく、だから手間をかけずに見返すことが出来る、なので手軽に楽しめる、そしてまた写真を撮るモチベーションになる、、、この好循環をぜひ体験してほしい。あ、可能ならMacの美しいディスプレイとか、便利なiPadとか使うとなおよし、です。笑
P6054165



あー、長かった。。よくぞここまで読んでくれました!笑 ありがとうございます。
グダグダ長く書いといてアレですが、とにかく言いたいことはひとつ!「こういう本、みんなもっと読んで、もっと一緒に写真楽しみましょうよ!」です。写真もクラウドも、僕のごくごく身近な人たちにはどんどん提案していますが、やっぱり説明だけ聞いててもよく分からないでしょ。自分でやってみないと絶対分かりません。めんどくさいですけどね。。でも、ちょっとカメラ最近はやってるし、やってみようかなぁ、と思ってちょっといいカメラを買った人、是非、FlickrFacebookアルバムか、アカウントを取得してやってみてください。どんどん撮って、どんどん公開してみてください。「作品」じゃなくて、普段の風景とか、美味しそうなランチとか、好きなモノならなんでもいいので。繰り返しですが、そういうことやってるとどんどん好循環になって、「楽しいみんなの写真」が出来ていくはずです。そう考えるとこの本のタイトル、相当いいなぁ。端的で的確だ。


さて。肝心の自分はというと、すでに相当楽しんではおりますが、更に写真を楽しむ、という意味では「GR Digital4をどうするか」なんですよね。先日Amazonさんで見たらまた2000円ほど下がっていて、62000円台でした・・・。ジリジリくるよなぁもう。笑 いつが買い時か、、、もう少しだけ悩むことにします。。